たなかむつこの分身・エッセイストがつむぎ出す、ちょっと団塊の世代の生活大好きエッセイシリーズ。

風にのって、軽快なマーチとマイクの声が聞こえてきた。

近くの小学校で運動会の練習をしている。
いつもの風景だけど、空がスカッと青さを増してきた。
白い雲がぽっかりのどかに浮かんでいる。

秋になると空が高く広く感じられるのはなぜだろう。

毎年、決まって今頃になると同じことを思ってしまう。


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先日娘が遊びに来て、ハワイ土産のサンキャッチャーなるものを
置いて帰った。

引き替えにちゃっかり、頂き物の老舗の佃煮と
蔵囲いの極細そうめんが消えたが。

幸運を招くというそのサンキャッチャーは、
キラキラした透明のクリスタルガラスで、窓辺に吊っておくと
表面のカットが光をとらえ、あたりにいくつもの小さな虹を作る。

しきりに感心する父親に「え〜っ、知らないのぉ?太陽の
エネルギーが部屋を浄化してくれるのよ」と、娘が得意げに説明する。

新しもの好きの夫は、書斎にしている元長女の部屋の窓辺に
それを吊した。

おかげで晴れた日にその部屋に入ると、壁や天井にミラーボールの
光のような小さな虹がいくつも浮かんで浄化中だ。
にぎやかなことこの上ない。


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自分専用のお茶碗とお箸を使う習慣があるのは、
アジアの国々でも日本だけなのだという。

初めてその話を聞いたときは、アイタ!と思った。

当時はわが家も4人家族で、娘たちがおもしろがる尻馬に乗って、
お茶碗のかわりにカフェオレボウルを使ったり、
海外土産のお箸を並べて楽しんでいた。

それを機にわが家からマイ茶碗、マイお箸の習慣が
すっかり消えてしまって、夫と二人暮らしに戻っても
ずるずると続いていたのだった。


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